レンタルオフィスのセキュリティ性は高い? 安心して利用するための9つのチェックポイントを解説!

近年、柔軟な働き方を求める企業やフリーランスの増加に伴い、レンタルオフィスの需要が高まっています。コスト効率や立地の良さだけでなく、重要な判断基準となるのがセキュリティの質です。
しかし、一口にセキュリティと言っても、入退室管理や監視カメラといった物理的側面と、ネットワーク環境の安全性といったデジタル側面の両方を評価する必要があります。
本記事では、レンタルオフィスのセキュリティ性を見極めるためのポイントを、実際の内覧時のチェック項目を交えながら解説します。これから契約を検討している方はもちろん、現在のオフィス環境の再評価にも役立つ内容となっています。
レンタルオフィスのセキュリティ性は高いのか?

近年、企業のワークスタイル多様化に伴いレンタルオフィスの需要が高まっています。特にスタートアップや中小企業にとって、初期コストを抑えつつ好立地に拠点を構えられる利点があります。しかし、こうしたレンタルオフィスを選ぶ際に見落としがちなのが「セキュリティ性」です。
レンタルオフィスのセキュリティ性は、大きく分けて「物理的セキュリティ」と「ネットワークセキュリティ」の二つの側面から考える必要があります。物理的セキュリティとは入退室管理や監視カメラ、警備員の配置など、目に見える形での対策を指します。一方、ネットワークセキュリティはインターネット接続の安全性やデータ保護など、目に見えない部分での対策を意味します。これらは相互に補完し合う関係にあり、どちらが欠けても総合的なセキュリティは担保できません。
レンタルオフィスは一般的に独自のセキュリティ対策を施していることをアピールしていますが、実際のところそのレベルは物件によって大きく異なります。優れたセキュリティシステムを備えた物件もあれば、基本的な対策しか講じていない物件も存在するのが現状です。特にネットワークセキュリティについては、表面的には分かりにくいため、見落とされがちな点といえるでしょう。
特に機密情報や個人情報を扱う業種では、オフィス環境のセキュリティレベルが情報漏洩リスクに直結します。そのため、レンタルオフィス選びにおいては、立地や費用だけでなく、物理面とネットワーク面の両方からセキュリティを評価することが重要な判断基準となります。
セキュリティ性の低い物件があるのも事実
残念ながら、市場には見た目は良くてもセキュリティ面で懸念がある物件も少なくありません。例えば以下のような状況はセキュリティ意識の低さを示しています。
- 監視カメラが設置されていても、死角が多い、または形骸化している
- 共有Wi-Fiにセキュリティ対策が不十分で、通信傍受リスクがある
- 他テナントとの物理的・情報的分離が不十分である
このようなオフィスでは、情報漏洩や不正アクセスのリスクが高まります。特に複数の企業が同じスペースを共有するレンタルオフィスでは、他テナントを通じたセキュリティリスクも考慮する必要があります。
セキュリティ性の高いレンタルオフィスのチェックポイント
レンタルオフィスのセキュリティ性を評価する際には、以下の各項目を詳細にチェックすることが重要です。契約前に必ず内覧を行い、これらのポイントを実際に確認しましょう。
- 入退室管理システムの導入状況
- 監視カメラの設置状況
- 警備体制
- インターネットセキュリティの安全性
- 機密書類の保管・処分設備や体制
- 来訪者管理の運用状況
- 防災対策
- 他テナントとの分離
- セキュリティ認証の有無
入退室管理システムの導入状況
セキュリティ性の高いレンタルオフィスでは、単なる鍵や暗証番号による入室管理ではなく、より高度なシステムが導入されています。
- ICカードや生体認証(指紋、顔認証など)による入退室管理システムの有無
- システム稼働の24時間体制と停電時のバックアップ体制
- 入退室ログの記録・管理方法と保存期間
- 権限設定の細かさ(エリアごとのアクセス制限など)
- カード紛失時の即時無効化プロセス
内覧時には実際にシステムを体験させてもらい、使いやすさと同時にセキュリティの堅牢性を確認することが大切です。また、テナント退去後のアクセス権限の管理方法も確認しておきましょう。
監視カメラの設置状況
防犯カメラの設置は基本的なセキュリティ対策ですが、その配置や運用状況によって効果が大きく異なります。
- 共用エリア(エントランス、廊下、エレベーターホールなど)の死角のない監視
- カメラの画質・性能(暗所での撮影能力など)
- 録画データの保存期間と管理方法
- モニタリング体制(常時監視か定期確認か)
- プライバシーに配慮した配置(トイレ前などの配慮)
単にカメラがあるだけでなく、実際の運用や管理体制まで確認することで、監視システムの実効性を見極めることができます。
警備体制
システムによる自動監視に加え、人的セキュリティも重要な要素です。特に夜間や休日のセキュリティ体制は入念にチェックしましょう。
- 有人警備の時間帯と配置場所
- 警備スタッフの訓練・教育レベル
- 緊急時の対応手順と連絡体制
- 定期的な巡回の頻度と範囲
- 警備会社との契約内容(対応レベルの明確化)
できれば夜間や休日にも訪問し、時間外の警備体制を直接確認することをお勧めします。
インターネットセキュリティの安全性
現代のビジネスにおいて、ネットワークセキュリティはオフィスセキュリティの中核です。特に共有ネットワークを使用する環境では慎重な確認が必要です。
- 専用回線の提供有無と帯域保証
- ネットワーク分離の状況(テナント間の通信遮断)
- ファイアウォールやウイルス対策の導入状況
- VPN接続のサポート体制
- Wi-Fiセキュリティ(暗号化方式、認証方法)
技術的な詳細が不明な場合は、自社のIT担当者や外部の専門家に同行してもらい、ネットワークセキュリティを評価してもらうことも検討しましょう。
機密書類の保管・処分設備や体制
紙媒体の情報管理も重要です。特に機密文書の安全な保管と適切な廃棄方法をチェックしましょう。
- 施錠可能な書類キャビネットの提供
- シュレッダーの設置状況(クロスカット式が望ましい)
- 機密書類廃棄サービスの有無
- 保管スペースのセキュリティ対策
- 清掃スタッフの教育と監督体制
オフィス内での情報管理だけでなく、廃棄プロセスも含めた一貫したセキュリティ体制があるかを確認することが重要です。
来訪者管理の運用状況
社外からの訪問者管理は、不審者の侵入を防ぐ重要な防衛線です。特に複数企業が入居するレンタルオフィスでは、来訪者管理の徹底が求められます。
- 受付での来訪者確認・記録プロセス
- 訪問者用バッジの発行と管理
- エスコート方式(常に従業員が同行するか)
- 事前登録制度の有無
- 不審者対応の手順と訓練状況
実際に訪問して受付の対応を体験することで、来訪者管理の厳格さを確認できます。予告なしでの訪問時の対応も重要なチェックポイントです。
防災対策
災害時のセキュリティ維持も重要な評価項目です。緊急時にもセキュリティが損なわれないような対策が講じられているか確認しましょう。
- 非常時のアクセス制御(避難と同時にセキュリティを維持)
- バックアップ電源の有無と稼働時間
- 災害時の重要情報保護対策
- 避難経路の確保とセキュリティのバランス
- BCPへの対応状況(事業継続計画)
災害発生時にもセキュリティと安全性を両立できる設計になっているかを確認することが重要です。
他テナントとの分離
共用スペースの多いレンタルオフィスでは、他テナントとの適切な分離が情報セキュリティの鍵となります。
- 物理的な区画分けの状況(壁、ドア、パーティション)
- 音声漏洩防止対策(遮音性)
- 共用エリアでの情報漏洩リスク対策
- 他テナントの業種・特性(セキュリティ意識の高い企業の入居率)
- フロア間のセキュリティ分離
特に機密性の高い業務を行う場合は、完全個室タイプのオフィスを選ぶか、追加の防音・遮蔽対策が可能かを確認しましょう。
セキュリティ認証の有無
第三者機関によるセキュリティ認証は、客観的な評価指標となります。
- ISO27001(情報セキュリティマネジメントシステム)認証
- ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証
- プライバシーマークの取得状況
認証取得はセキュリティへの取り組みを示す重要な指標ですが、認証の維持管理状況も合わせて確認することが重要です。
まとめ
レンタルオフィスのセキュリティ性は物理面とネットワーク面の両方から総合的に評価することが重要です。セキュリティ対策が不十分なオフィスは情報漏洩や不正アクセスのリスクを高めます。オフィス選びでは、必ず内覧を実施し、異なる時間帯での訪問も検討しましょう。受付での対応、監視カメラの配置、入退室管理システムなどの物理面と、ネットワーク分離やデータ保護などのIT面を確認することが大切です。
また契約前には、セキュリティに関する責任範囲や対応レベルを契約書で明確にしておくことをお勧めします。企業情報を守るためには、立地や価格だけでなく、セキュリティ面も重要な判断基準として検討してください。適切なセキュリティを備えたオフィス環境は、長期的に見て企業の信頼性と業務の安全性を支える重要な投資となります。